スカイライン/光冨郁也
る手の脇から、外の流れる市街を見る。
団地の狭い部屋、
母は、わたしに声をあげ続けていた。
その夜、母は、
トイレで、
嗚咽しはじめる。
動けないわたしの、
手の汗で、布団が濡れる。
わたしは、近所にあずけられた。
翌朝、父がわたしを迎えにくる。
はれた目をこすり、
わたしは、強く、父の手を握る。
(お母さんは帰ってこなかったお父さんも会社からまだ帰らないぼくしかいない部屋ぼくはひとりで窓の外の明かりかわいたおにぎりをかじるひとつだけもつあとは鏡台の裏に隠す味がないだれもいないだれもなにも言わないぼくだけ鍵が落ちるぼくは息をひそめる雨の音が
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