スカイライン/光冨郁也
音がしはじめる外の明かりでぼくはコップの中の水を飲む)
母が退院して、
引越をした。
日がさしこむ、床。
三人の、青空に、
部屋は、広く、明るくなる。
父と並んで、
グローブと、ボールをもって、
キャッチボールをしに行く、
たてに長い公園。
一球だけ、父を驚かせた、
速球の、重い音の響きに、
わたしはグローブを、
胸にあてて、笑う。
ボールを投げ返す、父の手。
一年後の、折れた春。
わたしは、ふすまの陰から、書斎を覗く。
原稿用紙に、
向かう父は、
机に万年筆を叩きつけ壊した。
病室に移る前の、
部
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