Y/M/Monk
 
もうとっくに君が乗るはずだった列車の時刻は過ぎてしまった。君
は帰るはずだった場所のことを忘れてしまったのだろうか。僕は悩
んだ末にまったく同等とは言えないが新たに作り直すことを決意し、
そのことを君に告げる。君は今すぐに、と言い続ける。僕はその声
を聞きながらゆっくりと元の形を思いだし設計を始める。

僕らの立っていた駅舎はいつのまにか無人となり老朽化が進んでゆ
く。時間の流れと目の前の現象がまったく同期していない。


 ***


具体的には何もない。ただ僕たち二人が一緒にいるという事実が存
在し、その必然性を裏付けるような事実は存在していない。理由な
ど後から
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