ひとつの島/まどろむ海月
 
ちが煌めきながら 久遠の水晶球を廻っていくとき
 すみれ色の空間に星たちの輝きは薄れ 曙がはじまるとき
 ささやかな花畑に色とりどりの花が咲き乱れるとき
 小さな木々や草たちが新緑に萌えるとき
 初夏の光を浴びて 魚たちが銀色の飛沫を上げて 戯れるとき…

このかけがえのない美しさを ほかの誰が わかってくれるだろうか

そのとき 香しい雨のように
やさしい光天使の声が 降りてきた  

 深い海の底に 君の秘密がある
 君は 独り浮かぶ存在ではなく
 大地につながっている

 草や木が しげみの陰の小さな白い動物が
 海藻に 卵を産みつける魚たち 貝や蟹

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