ひとつの島/まどろむ海月
 

 数知れぬ小さな生き物たちが
 君のなかに生きている  

 だから
 「 ちいさな島でいることは すばらしい
   世界につながりながら
   じぶんの世界をもち
   かがやくあおい海に かこまれて 」

幾たびも季節がすぎ
ある日 くじら が通りかかった
島は ことづけを 頼んだ 

 もし ひろい大海原で
 孤独に 震えている
 ちいさな島を見かけたら
 こう伝えてほしい
 「 ひとつのちいさな島でいることは すばらしい
   なぜなら ………              」

くじら は ワカッタ とでもいうように
大きなひれをあげて ゆっくりと波間をたたくと
悠然と 水平線の彼方に 姿を消していった





(最初の「  」の部分はG・マクドナルドの『ちいさな島』<谷川俊太郎訳>から、そのまま引用しています。)


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