ただの独白。誰にも読まれなくて構わない。/あさみ
かし、彼女が整った顔立ちをしていると認識していた者は極めて少なかった。正確に言えば、皆その端正さに気づけなかったのである。彼女は自分の顔の端正さを一度だって自慢したことはないし(彼女自身気づいていなかったというのは実に有力な説である)、いつだって皆を笑わせようと馬鹿ばかりやっていて、彼女自身がいつも大口を開けてげらげらと笑っていたのだから。
本当に、本当に愛しい人間だと思う。素晴らしい人間だと思う。
しかし、なにもかもが素晴らしい人間というものは、必ず誰かに妬まれる。転校してきたばかりで、躊躇いもなく人懐こい笑みと共に話しかけてくる彼女に、良い印象を抱く者ばかりではなかったということだ。
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