ただの独白。誰にも読まれなくて構わない。/あさみ
た秘密ごとは、誰にどれだけ尋ねられても決して言わない。ダメだよ、だって二人だけの秘密だもの!冗談めいたそんな言葉と共に、重要であるはずの秘密の重要性は私たちにとって希薄なものなっていった。
そんな彼女だから自然と人望も厚くなり、友達も増えていく。ついには学校中の人間――下級生や、先生も含めて――と「友達」になったのは転校してきて何日目のことだったか。気づけば学校どころか、町のおじさん、おばさん、犬までもが彼女の「友達」となっていた。
Sが笑えば周りも笑う。今思えば、本当に幸福そのものが服を着て歩いているようなものだった。
蛇足だが敢て付け足すと、彼女はその容貌も美しいものだった。しかし
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