やもり/ZUZU
素性がばれてしまうらしくてね
うまくいかないことばかりさ
「そうかい
ところでどうして来世のぼくよ
ぼくはこうしてこんなところに張り付いているのだろうね
このまま行き場がないようだよ
こんなところで身動きがとれないよ
覚えているだろうつい前世の十月のことだよ
もう忘れてしまったよ
何度どういう生き物に生まれてもたいして違いはないのかもしれないね
ぼくもこんな田舎に張り付いて
身動きが取れないにんげんになってしまったらしいよ
愛するとか愛されるという概念は難解なものだよ
ああやもりのころは愛を知らなかった
「愛の問題ではないよ
ここにこうしているだけだからき
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