河童の屁?3 (宵待ちの月)/がんさん
 


ことさら浮き立って豪華に見えた。

僕は、気取られないように、そんな彼女の姿に目をやる。

少女の柔軟な手足が、祭りの空気を優しく切り裂いて舞う。

微かに、アセチレン灯の燃える甘ったるい匂いがする。

群集のざわめきが、潮騒のように、遠くて近い。

僕は、いつしか、うつらうつら寝込んでしまったようだ。



はっとして気付くと、あの少女が、僕の傍らに佇んでいた。

「ねぇ、何で踊らないの?」

「えっ? 僕さ、ここへ越してきたばかりなんだ。

友達もいないし、踊るの何となく恥ずかしい。」

「そう。 踊ればいいのに。 

楽しいよ。わた
[次のページ]
戻る   Point(1)