河童の屁?3 (宵待ちの月)/がんさん
 
に漬けた杏の実を頬張りながら、

祭りが始まる前の、まだ閑散としている店々を覗いて歩く。

これがまた、醍醐味なんだよね。

時々、香具師のおじさんが、景気付けに飴玉をくれたりする。

まだ陽が十分落ちきっていなものだから、

露店も「夜店」に昇格できずに、

その辺をうろうろしているように見えるんだ。

香具師も何だか隣のおじさんみたいだしね。



やがて、夜の帳がすっかり下りると、祭りの会場は、

浮き立つような賑わいになった。

踊りの輪は、二重、三重と外へ広がり、

その中で、色とりどりの浴衣の花たちは、

水中をたゆたうように、揺
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