河童の屁?3 (宵待ちの月)/がんさん
 
しくて、

不自然に光って見えるもんだから、

何だか映画のセットみたく思えた。

というのも、ここは、

戦後新しく建てられた家ばかりが集まっていた。

戦時中、街の一角に軍の通信施設があったものだから、

この辺りでは唯一、爆撃を受けて、破壊しつくされたんだ。

戦火で命を奪われた人、家を追われた人たちは、

再びこの街へ帰ることはなかった。

新しい家々が建てられ、そして、新しい家族が街に溢れた。

それでも夏祭りは、途切れずに続いていたんだな。

焼失した神社の境内に紅白の幕が張られ、

かつての参道に、露店が立ち並ぶ。

僕は、甘酢に漬
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