河童の屁?3 (宵待ちの月)/がんさん
 
性分だから、

重い腰を上げたとたん、突っ走り始めた。

けっきょく、新しい家が建つ前に、

今までの家を売り飛ばしたものだから、

僕ら家族は、ひと夏の短い間だったけれど、

住む家がなくなるという事態に晒された。

仕方ないので、アパートの仮住まい。

母は、その余分な出費をいつまでも

ぐずぐずとこぼしていたけれど、

僕ら兄弟には、何だかワクワクするような夏の始まりに思えた。

最初のうちはね。



なんせ、そのアパートは、

大川という一級河川のたもとにあったし、

周りには、青々と気持ちのいい水田地帯が広がっていた。


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