命とは・・・/がんさん
オレが最初に知った不自由さは、
不幸なことに、父であり、母であった。
叶うことならば、
ロマの吟遊詩人でありたかったオレは、
最後まで、煤けた梁に吊り下げられた団欒というものに
馴染むことが出来なかった。
オレは、そんな大それたことを望んだわけじゃない。
ただ、これっぱかりの翼と、
これっぱかりの冒険心で、
大空の在り処を知りたかっただけなんだ。
それは、父や母の顔でない、
オレ自身の顔を見つけるために。
小さな頃から何故だか、
空には真っ当な姿が映し出されると信じていたから・・・
やがて、
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