命とは・・・/がんさん
 
骨壷の中で、シャリ、シャリと微かに呟く声がする。

ねぇ、おまえ。

人間なんざぁ、死んじまえばこれっぱかりのカルシウムの塊よ。

どれほど、世界を股にかけた男だろうと、

恋の奈落に身を沈めた女だろうと、

死んじまえば、

たった三十センチ四方にも満たないこんな骨壷の中で、

シャリ、シャリと身を食む骨屑になる。



オレにだって、若い頃はあった。

溶岩のように粘っこく煮えたぎる血潮をそっと、

夜明けに慰める日もあったんだ。

まるで夢を食らう獣の如く、

毎日は、闇雲で、

毎日が、あてどもなかった。



オレ
[次のページ]
戻る   Point(4)