平熱の朝/はな
張ったような
あなたの表情に
ああ またきづいていない と知って
あなたはスカーフを肩にかけて
さむそうにでかけていった
僕はほほえんであなたをみおくり
ぱたん としずかに閉まったドアを
いつまでも見ていた}
ひたいに手をあてて天井を見ていると
むかしのことばかりおもいだす
むかしのこと
もうずいぶんまえにまちがえた
何かを追いかけている僕
{引用=よる
あなたは疲れた顔で帰ってきて
何も言わずに僕を抱きしめる
その体は
朝よりも深く 燃えていて
僕は少し泣きそうな気持ちになる
あなたは僕からすこしはなれて
僕の顔をまっすぐに見ると
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