「夏の終わり」(コラボレート作品)/ベンジャミン
ウンスされる。そして電車は通過する。鉄橋を超えて、海が見えた。その時、僕はすでに席に着いていた。
僕の背中側、僕には見えない窓のむこうで、夏はもう、手のひらみたいな終着駅に、届きそうだった。
*
今ここで書き留めた
言葉の一滴がもしも
どこかへ運ばれてゆくのなら
それが次の季節であることを
祈る右手ににぎられた
使い古しのボールペン
左から流れる横書きの文字が
いつしか秋の匂いに包まれて
気の早い言葉がもう
音もなく散り始める
それが時の流れだというように
駅の発車ベルが騒いでいるけど
*
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