「夏の終わり」(コラボレート作品)/ベンジャミン
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誰かが単語帳を落とす。そしてそれを、誰かが拾う。一つの手から一つの手へ。渡された小さな紙の上の、筆跡は少しだけ見えて、綴じられた。
僕は目を伏せる。そして目を上げると、また、海で。 波のむこうで、カモメが散っていった。真っ白なままの日記みたいだった。
僕は自分の、十七歳の手のひらを見つめ直した。それは、電車の振動に合わせて小さく震えていた。乗り換える駅の名前も忘れたまま、また新しい発車ベルが、汽笛みたいに聞こえてきている。
一節・三節はぼくが書いていて、二節・三節はあをの過程さんが書いてくれています。こういうコラボレートも楽しいですね
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