おちる/なかやまそう
 



ひたすら歩く






扉を開けると
行き場のない
生温い水蒸気が
体をつつむ

アスファルトで
閉じ込められた
土や泥は蒸発し



川の水は



干上がり



行き場のない

魚が

空から


降ってくる




沸騰した
やかんの水が
いきおい良く
外に飛び出すように

乾いたココロは
出口を探す



混沌



というコトバで
片付けられてしまう
豊かな社会は
乾いた欲求で
満ちつづけ

欲望のなかで

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