おちる/なかやまそう
溺れながらも
泳ぐ術を覚える
人工的なモノに
過度に敏感に
なってしまった僕は
このもわっとした
水蒸気に包まれ
魚と一緒に
空から
落下して
して
おちて
おちて
おちて
おちて
くちる
大きなダムから
あふれた欲求は
僕をなぎたおし
濁流となって
海へ
ながれる
エゴで満ちた魚たち
エゴデ
充ちた
さかなたち
みちた
エゴでミチタ
うみは
やがて干上がり
行き場のない
おおきな鯨は
空から
ドカンと
頭上に落ちるので
僕は昨年の夏
鯨男に
なった
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