みきすけとまきすけ/炭本 樹宏
の患者も暇だったので、返事をしてくれる人もいました。最初、親しくなった女の子は私のことを
ムッシュと呼び、その声が聞こえると中庭に出て、挨拶を交わしました。
1階と2階で、物干し竿を使って手紙や詩や落書きの交換などをして親睦を深め合いました。
しかし、彼女の病状は悪く独房に入れられて、挨拶すら交わせなくなることがしばしばありました。それで、他の女の子と挨拶をするなかに、まきすけこと、Mさんがいたのです。
彼女は眼鏡をかけていて、一見おとなしそうでした。何度か話をして、親しくなると、彼女は
私にある宗教書を投げ落としました。
私はこうやって文章を書きますが、病気になってから、長い
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