みきすけとまきすけ/炭本 樹宏
 
神状態は日が経つにつれ安定してきました。しかし、私は住む所を無くし、入院の生活を送るしかありませんでした。
 病棟には中庭があり、私が入院していたのは一階の1病棟で閉鎖の男子専門病棟でした。2階は閉鎖の女子病棟がありました。窓越しには女子病棟の人影が分かりました。精神病院なので、
自殺防止のため窓は全開にはならなくしてありました。
 閉鎖病棟ではすることが無く、タバコを吸うか、妄想患者の話を聞くかぐらいしかすることが
ありませんでした。その中で、唯一の楽しみが2病棟の女の子と声を掛け合うことでしたが、それも看護師に制限されていました。私はスキをみて二階の女性患者に声を掛けました。2病棟の患
[次のページ]
戻る   Point(6)