9月3日/はらだよしひろ
 
隠れた



ため息をつきながら

笑った

ため息はふれることもないかな

弟の得意技だった



浮かぶ 坊主頭の

歯もあまり磨かなかった口の臭さは

もう感じることもなく



かすれていく 淋しささえも

もう昔の今となっては

よみがえる残憶



うすくなっていく おとうと

時のあいだが拡がりを見せて

どこへ消えたのだろうと

錯覚する が

「いた」のは まだ 私の中



涙する あの 虫の息で

「お姉ちゃん」とつぶやく

細るくちびるを


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