蜷川実香と僕の微妙な関係/似非写真論/mana
彼の写真はカラーもモノクロも好きだけれど、ダントツで惚れこんでいるのは『センチメンタルな旅・冬の旅』。
荒木が序文で述べている通り、この一冊の写真集は写真という「私小説」である。だから泣ける。荒木陽子というひとりの女性に、僕は猛烈に嫉妬しながら「これが愛か」って思うんだ。この作品は篠山紀信との激論ネタにもなっている。
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荒木 「一回妻の死に出会えばそうなる。」
篠山 「ならないよ。女房が死んだ奴なんていっぱいいるよ。」
荒木 「でも何かを出した奴はいない。」
篠山 「そんなもの出さなくていいんだよ。」
(中略)
荒木 「虚
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