詩について/大山猫
 
ら。有り得ない物語はまさしく「存在しない」、しかし、存在しないというような仕方でしか感触し得ないような物語、元型(Archetype)的なもの、もまた我々と交錯しているのだ。
 人は時として、語りうるもの、見えるもの、把握し得るもの以外には何ら考慮すべき事柄はないかのように振舞う。しかし、語りえないもの、見えないもの、把握し得ないものが常に、可能なものの傍らで眠っているのであって、それを無視する事は無論可能であるが、無視することは既に一つの錯誤であって、その錯誤が避け得ぬものなのであれば、その錯誤を見据える外あるまい。そして、その、「不可能なもの共」と取り敢えず纏め得るような事柄への錯誤を見据え
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