2100年宇宙のクリスマス/みつべえ
に。パイロットという種族は鼻もちならないな。宇宙に出れば何でも自由だと言わんばかりだ。
そんな私の心を見透かしたのか、長身の船長は満面にシニックな笑みを浮かべて言った。
「これは失礼。惑星居住者はタバコがお嫌いでしたね。しかし私のような職業はストレスがたまるんですよ。なにしろ、この床の下は虚無があるばかりですからね」
彼は芝居じみたポーズで大理石ふうにコーティングされた床を踏んでみせた。
「完全管理システムで何もかもフォローしてくれる地上では、ストレスなんて言葉さえ死語でしょうがね。でも、ひとに聞いた話ですが、このごろ地球は熱狂的な疑似宗教ブームだそうですね。ふしぎな話だ。神秘体験した
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