踏みのめらかし踏みすべり/佐々宝砂
 
俺は「ありがとう」と言った。

朝起きてからずっと目の焦点が合わなくて俺は窓を開けて空は高曇りで
ノーテンキに雀が鳴いていて医者に電話をかけたら予約がいっぱいでど
うしてくれるんだ何か起きたらどう保証をしてくれるんだと息巻く元気
もなく目をこすったら白かったけれどとにかく薬はまだたくさんある。

買い物は簡単に済んだ。誰も怒ってくれなかった。

店でもいいけれどもっと簡単に済むところが楽でいい人がたくさんいて
大騒ぎになってそれが簡単にできて楽なのがいい楽になりたいのだ抑え
てくれるのはベルトなのか腕なのか縄なのか薬なのかなんでもいい懐か
しい緊縛のイメージはミルクの匂いが
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