踏みのめらかし踏みすべり/佐々宝砂
 
いがする。

朝の校庭はミルクの匂いがした。

拒まれているので拒むことにしたがどうすればいいのかはよくわかって
いてそうするとそれでそうなることもわかっていたけれどそうするしか
ないからそうしたら教室は血汐校庭は血汐手も腕も足もすべては血汐の
赤さの赤鬼踏みのめらかし踏みすべり怒号を受けて踏みすべり。

踏みのめらかし踏みすべり。

望んだように夢みたようにやってきたそれはこの腕をとり懐かしい緊縛
あれほどにほしかった緊縛がおちてきてそれはおそろしいほどの安心を
もたらしたので楽になって息ができるようになって楽になったので俺は
校庭の血汐に気づく。

だから俺は「ありがとう」と言った。

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