棒読みの歌/岡部淳太郎
いあけがたの、はやすぎる
ひざしの、これではめざましどけい
いらずだよ。あさはすっきりと、き
りきりと、しめ、しめ、しめあげら
れるような、まだねむけののこる、
ここ、ここ、ここにあるこころ、こ
ころ、ここにあらずの、そ、そ、そ、
そのこころで、わたしはまだゆめの
なかにいて、きょうのじゅんび、い
ち、いちにちの、じゅん、び、など、
まだまるで、できやしないのに、は
や、すぎるしょねつのした、いそ、
いそ、と、いそがなければならない
のか。
夏の憂鬱がまっすぐに昇ってゆく。この暑さ
にやられて、ぱたりぱたりと
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