棒読みの歌/岡部淳太郎
りと倒れてゆく。空
と地の間で、垂直の騒々しさがいつまでもつ
づき、倒れやすい心が育てられた。蜥蜴の尻
尾よりも切れやすい気持ちしか持てないのな
ら、ちょうどいい。季節は夏。この暑さを切
断して、山の向こうと海の向こうにばらばら
に捨てて置くが良い。
ねむけにおそわれるまっぴるまの、
たいようのえいこうの、そのしたで
さえ、さえざえとはれわたるこのね
むけよ。ねむれなかったあつさのせ
いで、いでよ、ねむっていたかつり
ょく。ねむらざるをえなかったちか
らよ。ちか、から、から、から、と、
からまわりするひびわれたちかすい
の、
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