棒読みの歌/岡部淳太郎
のなかに、けりとばしたた
おるけっとのなかに、おそ、おそ、
おそいよるが、きょう、ふの、そく
どで、ゆっくりと、やって、やって、
くる。これはどんなきもだめしより
も、すうひゃくばい、おそろしいよ
るだ。
夏の日差しが直角に曲ってやってくる。乱反
射する不特定多数の人の思いよ。眩しすぎる
鏡の、塔の先端へ突き刺さってゆくにせの影。
この世のやり切れなさを、糠味噌じみた同意
の中に捨て去ってゆけ。ちょうどいい。季節
は夏。この夏の開放された光に則って、この
炎天を乗っ取って、すべてを東の方向に放り
投げるが良い。
ねむれないあ
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