となりの鬼が島/初代ドリンク嬢
山の上に見える月に向かって
叫んでるときがある
聴いたことのないような音だから何を言ってんのかはわからないけど
やっぱり、
辛いのかな
違う世界で生きるのは
ある晩
黄色いのが一人で泣いていた
泣くのは赤い鬼だけかと思っていた
僕はバイト帰りにフラフラと歩いていた
なんだかすごくすごく悲しそうに泣いていた
僕が立ち止まると
黄色の鬼は僕に気付いて
アピールするように泣くから
ついつい声をかけてみた
「どうしたの?」
「・・・・・」
「言いたくないんならいいけど」
「特に理由はないのです。
ただ、なぜだか悲しくて」
「そうだね、よくあるよ」
「私
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)