記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
うモノが決壊する。
俺が傘を投げ捨て、舞子を抱き寄せた。チカラ強く。
(まるで映画のワンシーンだった。遠くから街頭が俺たちを照らす。)
首に、耳に、鎖骨に、口づけて。
彼女がガクガクと揺れる。震えるんじゃない、ガクガクと揺れていた。
何度も囁く。
「愛してる。舞子、愛してるよ。」

 その時、俺の携帯が鳴る。
俺の時間はもう終わりだ。帰らなきゃ。
でも、舞子を放したくない。放したくない。放さない。
俺の欲望が立ち上がる。恥ずかしくなって、腰を引いたら、
舞子がクスクス笑って、耳元で囁いた。
「可愛い」
恥ずかしくなって、俺はもっと強く彼女を抱きしめた。
キスしたのか覚
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