記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
く過ごしていたよ。
彼女が、キャラメルポップコーンを作って持ってきてくれた。
煙草を吸った。二人で雨に濡れてた。キス…したっけ。
覚えてない。したと思う。
雨の中を、2ちゃんねるとか色んな話をしながら、多摩川へ向かう。

雨の日の多摩川は灰色で、橋の下で寄り添った。
キスをした。

帰らなきゃ。

昼と夜で向きが変わる大仏を通って、成城に向かう。
二人で過ごす時間は限られている。残念だよね。
 彼女の手が、俺の後頭部に伸びて、髪を撫でていた。
雨に濡れた髪を、彼女の手が優しく、何度も、何度も上下する。

 ぷつん

 と何かが切れた。俺の中で、またも理性と言うモ
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