不連続小説 『煙道 1』/クリ
 
れるらしい)」で味付けした「ビター」だ。
あまりの度数の高さに私たちは水で割って白濁したものを飲んだが、村人たちは皆「生」でやっていた。
宴のそこここで頓死酒が野火のごとく発火するので、消火用に濡らした蓮の葉が山のように積まれていた。
夜も更けた頃、村の長老が私たちに素晴らしいものを見せたい、と切り出してきた。
こういう場合、たいていは古式ゆかしい歌や舞いが出てくるもので私たちは内心「またか」と思った。
しかしもちろん、宿と食事を提供してくれた優しい村人たちのさらなる厚意を拒むわけにはいかない。
是非喜んで、と満面の笑みを浮かべ、すでに睡魔に襲われ始めている私たちは居住まいを正した。
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