不確かな存在/チャオ
 
真のものにではない。写真に写るものの顔を見つめる、自分に抱いている。

死んでいくものを見るとき、元の戻らない時間を思う。しかし、本当に僕等は正しい時間軸に生きているのだろうかと思うことがある。もしかしたら、僕等は死に向かっているのではなく、誕生に向かっているのかもしれない。それは僕には分からない。何しろ、僕と君の次元が違うのかもしれないのだから。僕等の時間軸が同じであることだって確かめることは出来ないのだから。

アパートの物音は、僕の時間軸に何かが忍び込んだのかもしれない。時間軸が交錯し、何かの時間軸が混合されたのかもしれない。もしそうならば、その物音は、未来の物音なのか、過去の物音な
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