不確かな存在/チャオ
 
。推理小説のきっかけのようなものだ。

宇宙船で見る映像は、確かに逆送りになった。しかし、やはりその映像は不自然で、逆送りなのか真に正しい方向で進んでいるのかわからなかった。結局、その映像を正しく再生する方法をつかめなかった。

時間には、ある一定の方向に向かい、正しく動いていく規則がある。それが急に逆向きにはならない。だから、僕等は常に未来を夢見、過去を抱えていかなければいけない。

写真を見る。そこにはすでにこの世にいなくなったものの顔を見ることが出来る。しかし、時間は元に戻らない。ただ、そこにその生命があったことだけを示す。もし、そこに何らかの感傷を抱いたとしたら、それは、写真の
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