不確かな存在/チャオ
 
い。物音が鳴る。僕ではない誰かの物音。でもそこには誰もいない。僕は、布団を頭にかぶり、知らないふりをする。幻聴?ならば、幻とは何であるのだろう。

再生ボタンを押した人が見た映像は、よく分からないものだった。よくよく目を凝らしてみると、なにやら、逆送りしているように感じないでもなかった。宇宙船の機械をいじり、もう一つの再生ボタンらしきものを発見した。何を迷うことも無くそのボタンを押した。

写真に取られたポーズは、すでに過ぎ去った現実であり、それは意味であるからこそ、命をもちはしない。写真に収められた非生命体は、しかし、生命のあることを示している。物語は延長するが、写真はそこで途絶える。推
[次のページ]
戻る   Point(2)