キレイ過ぎる街/紫音
焼いて
判らぬうちに麻薬のように心を濡らす
二人の男と二人の女がいた
また別の
二人の女と二人の男がいた
また別の
二人の女とも男ともわからぬものもいた
この街はこうして
いつの間にか人で地を埋め尽くした
草も生えない石畳の上で
それは成長し続ける
幸も不幸も飲み込んで
癌細胞のように無計画に増殖し続ける
いくつもの
幾人もの
影を飲み込んで
人を飲み込んで
固着して吸収して
やがて消え去るその日が来るまで
泡沫の幻影を映写し
空蝉の幻聴を聴取し
覆い被さる空が蓋い隠すまで
無限に繰り返す
稀に弾き出された人が
一人目なのか二人目なのか
三人目なの
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