キレイ過ぎる街/紫音
二人の男がいた
一人はただ何もせず寝て日暮れを待ち
一人はただひたすら歩き夜明けを待ち
こうして二人は離れていった
一人はまたむくりと起きて月を眺め
一人はまたぽとりと汗をかき座った
こうして二人は留まった
この街は見ず知らずの人が吹き溜まり
異邦人の囁きが耳を溶かし
知らぬうちに麻酔のように心を鈍らす
二人の女がいた
一人はただ何もせず寝て日暮れを待ち
一人はただひたすら焦り男の影を待ち
こうして二人は歳を重ねていった
一人はまたむくりと起きて化粧をし
一人はまたぽつりと呟き酒を飲み
こうして二人は変わった
この街は誰知らずに陰が行き渡り
異界の発光が目を焼い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)