破壊的衝動による狂乱の独白/虹村 凌
 
夜、歩道橋の上。
缶コーヒーで、煙草を4本吸う。
そんな処では詩が生まれない。知っている。
実際に、詩は生まれなかった。いい場所だ。
夜は、昼間よりも、詩が溢れている気がする。
例えば、近所の飲み屋がある通り。
電車が側を通って、窓の明かりが通りを一瞬だけ照らす。
たったそれだけが、何となく詩になりそうな気がする。
でも、歩道橋の上で、煙草を吸っても、珈琲を飲んでも。
詩は生まれない。
歩道橋とは、そんな場所である気がする。
落ち着く場所である。

満員電車に乗らなくとも、人を見るたびに、
その人についてのドラマを感じる。
歩道橋の、俺の後ろを走る男や、信号を待ってい
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