『Alice』/川村 透
 
を剥かれようとしている果実の背には
ぶつぶつと手にさわる
何かがあった。震えていた。泣いていた。後ろ耳にピアス、銀粉の灰かぶり姫。
僕は女の胸に指を滑り込ませる。
白い肌はかりそめの明りの中で濡れ、揺れ、虹のピンクを
灯しはじめ
手。
初めて女の背中の刺青に気づく
ああ、
夜間飛行する真珠色の機体のように翼を広げて、女の刺青を視るために背中の
ホックを外してゆく指はレザーのジッパーを縦一文字に一気に開き、
目を、閉じてうずうずと僕は刺青をマッピングする爪、で、
粉っぽくちりばめられたざらざらの蒼のトッピングを愛撫し薄く目を開けて、見た。
僕は女の背中にちかちかと瞬く、夜の
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