小説の習作、原稿用紙八頁 #03/田中教平
 
医が退職する事はショックであった。主治医が変わる報せをユウスケにしたカナは泣いていた。そしてそれから、一日、二日は、すっかり静かになって、度々、泣いていた。ユウスケにとって主治医が変わる事は慣れたものだが、一から信頼関係をつくりなおす事も、容易ではない。そして、退職する主治医は、真面目というか、固い一面があって不満を抱きやすいカナにとって、一切の否定をせず、話しを聞いてくれるひとであった。
「うん、うん」
 ユウスケはカナの書いた主治医への手紙に目を通しつつ、頷くような声を出していた。
そして、その全てに目を通すと、ハア、と声を上げて
「よく書けてる」
と言った。
「そう?わたし、文才
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