小説の習作、原稿用紙八頁 #03/田中教平
生に十年来、並走して頂いた事になる。
カナはこの主治医の診察の他に、ケースワーカーとの面談の時間を設けていた。このケースワーカーとも長い付き合いで、ケースワーカーが辞めてしまった折には、もっと自宅から近距離のクリニックに病院を変える事も、カナは視野に入れていた。
というのも、ユウスケもカナも通院している現在の精神科の病院は、山の上のへんぴな所にあって、最寄りの駅から向かおうとすると、辛かった。坂道を昇りつつカナは
「これじゃ、登山でしょう?」
と言っていた事がある。
ユウスケには原付バイクがあったが、カナには無かった。そしてこの家庭には車が無かった。カナは自然、時間に間に合いそうに
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