咲子?/たま
 
訝そうな顔をして咲子が聴く。
六男「そうだよ。シナリオはね、セリフだけ書けばいいんだから」
咲子「じゃあ、このふたりってさ、恋人どうしなの?」
 ……。
「どうして?」
「あまり楽しそうじゃないから」
 ぶっ……。
 もうなんども書き直したのに、咲子にそういわれるとちょっと辛かった。シナリオを書きはじめたのは二十歳のころだったから、もう五年ばかり書きつづけている。書き上げたものはシナリオコンクールに応募したがいつも一次選考で落とされた。セリフだけで勝負できるといってみても、そのセリフがすべてだったから、ごまかしはできない一本勝負ということになる。詩を書かなくても、詩人と呼ばれるひとは
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