咲子?/たま
ら、漢和辞典をひらくとね、音読みはすべてカタカナ表記で、訓読みはすべてひらがなでしょ? あたし、日本の漢字って、おしべと、めしべが、くっついたものだとおもうの」
「……」
ひとくちに四千年といっても、その時の隔たりを埋めるイメージを得るのは容易ではない。なにかしらその隔たりを補うたしかな遺跡でもあれば、たぐり寄せることのできるイメージはあるかもしれないが。咲子にとって、そのたしかな遺跡と呼べるものが漢和辞典であったのだろう。古代中国に文字をもたらした原初の森、その森に降る雨の音を聴いて放つ咲子の問いは、紙ヒコーキの気まぐれな飛翔のように、とんでもないところに着地するのだった。
咲子の問い
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