咲子?/たま
 
なの?」
「ん、……好き」
 咲子の発話の頭にはしばしば「ん」がつくが、それは東北弁にある「んだ」を、半分呑み込んだものではないかという気がする。
妙にくぐもった「ん」だった。
 その日もふたりはこたつのなかで素足をからめ合った。咲子はいつものノートをひらく。マグカップを置いたぶん、こたつの上はせまくなって、漢和辞典と筆箱はベッドの上にある。
「ショウコはさ、いつもノートひらいてなに書いてるの?」
 いちど聴いてみたかった。
「半分日記かなあ……」
「じゃあ、あとの半分は……詩っかな?」
「えっ、うそだー。どうして知ってるの? あ、見たの?」
「ぶっ! 見てないよそんなの。なん
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