区域B/後期
 
づく。書き直された結末では、人物は何かを決意しかけて、決意しない。事件は解決しかけて、形を失う。読み終えた後に残るのは、用件を聞きそびれたような感じだけである。

最も高く評価される芸術家は、感動を与えた者ではない。「何かが分からなかった」という感想だけを残した者である。その感想は否定ではなく、鑑賞が成立した証拠とされる。

私は美術館に入った。展示室は広く、壁は白い。作品は見当たらない。それでも人々は壁の前に立ち、腕を組み、顎に手を当て、満足そうにうなずいている。私も壁を見たが、何も見えない。ただ、自分が何かを見落としているのではないか、という気持ちだけが次第に強くなった。

案内人
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