すすき野原の物語(灰色の影と風)/板谷みきょう
さ」。
自分にはもう不要だと捨ててしまった、瑞々しい「子どもの頃の名前」。
影は、それらを丁寧に拾い上げ、すすきの根元の湿った土に埋めていました。
「ひとつ、ふたつ、みっつ……。」
声にならない風の音が、野原に響きます。
それは、
誰からも顧みられなくなった「思い」たちが、土の中で
腐ってしまわないよう、影が優しく子守唄を歌っているかのようでした。
ある日、村の幼い少女が、大事にしていたおはじきを野原で失くしました。
少女は泣きながら野原を歩き、灰色の影と鉢合わせました。
大人が見れば絶叫して逃げ出すような不気味な影を、
少女はじっと見つめ、言いました。
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