すすき野原の物語(灰色の影と風)/板谷みきょう
「おじちゃん、私の『好き』を知らない?」
影は何も答えず、ただ足元の土を指差しました。
そこには、少女が失くしたおはじきと一緒に、
彼女が昨日、お母さんに叱られて捨ててしまった
「大好きだよ。」という温かな気持ちが、
クヌギの葉に包まれて置いてありました。
少女はおはじきを握りしめ、村へ帰りました。
けれど、少女がその話を大人にすると、
大人たちの顔は恐怖で引きつりました。
「やっぱり、あいつは子どもの心を盗んでいる!」
「鬼だ。ありゃあ、名のない『名呑童子(なのみどうじ)』だ!」
こうして、ただの影は、村人たちの恐怖という絵の具で塗り固められ、
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