すすき野原の物語(灰色の影と風)/板谷みきょう
 
与一が神社の周りを耕し始めてから、
すすき野原の様子が少しずつ変わり始めていました。

それまでは、ただの「空き地」だった場所が、
何やら得体の知れない「熱」を持ち始めたのです。
風が吹けば、銀色の穂が一斉にさざめき、
まるで野原全体が巨大な生き物のように、深く、重い呼吸を繰り返している。
村人たちは、その野原の奥に「何か」が居座っているのを感じ始めていました。

それは、特定の形を持たない、灰色の影でした。

影は、何もしませんでした。
ただ、夕暮れ時になると、すすきの波の間にすっと現れ、
村の方をじっと見つめているのです。
村人たちは、その影に自分たちの「不都合なも
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(1)